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2012 03,07 23:46 |
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「どうだい?とりあえず歩く分にはそれでなんとかなるだろ?」
「ハイ。充分です。ありがとうございます、ブラーニン様」 木製の義足と義手をはめたツルネが、軽く飛んで感触を確かめる。 「クラマもなんか・・すまんな。会ったそばから瀕死でよ(;・∀・)」 「い・・いえwwそれで・・その・・・・よかったら事の経緯を教えていただけたら・・・」 ブラーニンは頭をかきながら、面倒くさそうに話だした。 昔。 シルキーという村に3人の若者が住んでいたという。 面倒くさがり屋の男と、頭も良く働き者の男と、 そして、天使のような美しい女と。 ある日。 面倒くさがり屋の男は、二人を肝試しに誘った。 村の外れに不気味な屋敷があり、魔法使いが住んでいるという。 頭の良い男は嫌がったという。 深夜。 屋敷に近づく3人に気がついた魔術師は、美しい女を捕まえ、 二人の男にこう告げた。 「女の命を助けたければ、村の中心にある噴水の場所に、 村中の人間を集めろ」 二人は村中を周って、噴水の広場に村中の人間を集めたという。 その事を報告にきた二人は、 噴水広場を中心にして、空間が歪み、景色が消えるのを目撃する。 女の姿も なかった。 面倒くさがり屋の男は、魔法使いに殴りかかるが、 逆に倒される。 頭のいい男は、今、目の前で起こった事を冷静に分析。 魔法使いの前にひざまずいて、こう言った。 「私の命、私の身体、私の未来、過去、全て差し上げます。 私に力をください」 その見返りに、女を返して欲しい。 その願いは叶えられ、頭のいい男は錬金術師となった。 面倒くさがり屋の男は、ルーンマジックを学び、 旅をしながら、その魔法使いと、頭のいい男と、 美しい女を捜し続けているという。 「・・・それで、その女性は見つかったんですか?」 「いやあ、多分、今は死んでる」 「・・・今は??」 「あ~・・。デリートは、生き返らせようとしてるんだよ」 「!?そんなこと、できるんですか?」 「さあな~。どうなんだろうなぁ・・・・」 話をずっと隅で聞いていたツルネがブラーニンに話しかける。 「実は無課金連合国の国境付近の山で、カオーラ様に良く似た女性の 目撃情報がありました。私はこれから、知り合いの鍛冶職人に、 戦闘用の義手と義足を作ってもらってから、その山に向かおうと思います」 「そうか。頼む」 「ブラーニンさんは、これからどうするんですか?」 クラマは心配そうに訊ねた。 「オレか?オレは師匠んとこでもう一度修行だなぁ~」 するとエルフたちがざわめきだした。 「わ・・わ・・わたしたちわぁ~・・えっと~・・」 「お前達は一度故郷にもどれ。そのほうがいいだろ?」 「ホッ・・・よかったぁ・・・。あの人、怖いからキライ(´・ω・`)」 「で、クラマよ」 「はい」 「お前もこの国で強くなってくれ。お前の力を借りなきゃならないかもしれない」 「わ・・わかりました」 「よぉ~し。それじゃあ、出発するか~」 旅団との2度目の別れ。 まさか、アップデートという同じ目的で、自分とブラーニンが繋がっていたとは。 クラマは少し、嬉しかったが、同時にアップデートという男に対する恐怖、 そして憎しみも、増大していくのを感じていた。 とある山中。 「ふ・・ふしゅる・・・・・」 「お兄様って心も醜かったですけど、とうとう姿まで醜くなってしまわれたのね」 「ぐ・・ぐぅううう!!!」 不気味なバケモノが、可憐な少女に飛び掛っていった。 「できそこない。お父様がお兄様をそう呼んでおられるの、ご存知でしたかお兄様?」 空中に光輝く塵が、バケモノを捕らえて身動きを封じている。 「それとお兄様。宇宙の外側に、神様なんていないのよ? 神様は私達のしもべなのよお兄様」 「・・・ぐあああああ!!」 バケモノは、泣いている様に見えた。 「さようならお兄様、・・・・いいえ」 可憐な少女は、空中でもがくバケモノにそっと手をかざした。 「いいえ。さよなら、バケモノ」 光の塵に、バケモノは吸収されるかのように、ジワジワと実態をなくしていった。 そして、”無かったこと”になった。 「ほう。上手になったなカオーラ」 「お父様!!」 「ホラ、見てごらん。綺麗な石だろ?」 「うわ~wすご~いwこれがドフスね!嬉しいわお父様!」 「さあカオーラ。もうすぐだよ。もうすぐ、本当のお前の姿を取り戻せるよ」 「ホント?そしたら、お父様と結婚できるのね!嬉しい!」 世界はドフスを中心として、回り始めていた。 それぞれが、それぞれの思いを秘めながら、 世界を動かす歯車のひとつとなって―。
第1章 完結
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