2024 11,23 04:54 |
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2012 03,07 17:25 |
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美しい紫色のマントをひるがえしながら、
男は無数のコボルトと戦っていた。 ひらりひらりとコボルトの突撃を交わしながら、1匹1匹丁寧に倒していく。 炎で。氷で。様々な魔法を繰り出しながら、それはまるでダンスのようだった。 「ん~・・・飽きてきたなぁ・・。なあ、お前がリーダー? お前倒したらもう逃がしてくれねえかな?」 「ムキー!!バカにしてるなキサマァ!わたしのコボルト軍団は、 まだまだいるザマス!!お前らかかれ~!!」 男は面倒くさそうに、空中にルーンを描いた。 「汝炎の番人我らが守護者。ケイ・ライズ・ケナズ!」 そこらじゅうに溢れかえったコボルト全てにめがけて、 小さな炎が飛んでいった。 「・・・コボ?」 「なんだそれは!?そんな炎じゃ痛くもかゆくもないザマスよ!!」 「欲望こそ汝の糧。燃え上がれ。イフリートブレス!!」 するとまるで身体の内側から炎が立ち上ったかのように、 全身を巨大な炎に包まれて、全てのコボルトは息絶えた。 「・・・・へ・・?」 「さて。お前の軍団いなくなちゃったけども。もういいかな? 俺の可愛い弟子達が食事の用意をして待ってるんだ」 「・・・ちょ・・あ・・あ~・・・ちょっと用事を思いだし・・」 「お前に用事などない」 「!?デ・・・・デリート様!!?」 無表情の能面のような顔をした男が、コボルトのリーダーの後ろに突然現れた。 「ゲスリー。お前はエルフを始末して来い。南東の森にいる。 いいか?エルフの幼い女だ。失敗は許されない。さっさと行け」 「ハ・・ハヒィ~!!」 そそくさとゲスリーは走り去っていった。 「探したよデリート。お前に聞きたいことがある」 「私にはお前と話すことなどない。そうか、お前、 アップデート様ではなく、私を探していたのか?」 「いや、奴の前にまず、お前に聞きたいことがあるんだ。 同郷のよしみで少しつきあってくれないか?デリート」 しばしの無言のあと、デリートの口が開いた。 「二度とシルキー村の話をするな」 「・・・・・・」 「ボンバーが行方不明なのだが、これもお前の仕業か?」 「おいおい、結構話すことあるじゃねえかお前ww」 「・・・・・・」 「あの爆弾使いの事か?なら今頃どこか遠くの砂漠で彷徨ってるかもなw どこに飛ばしたか、忘れちまったww」 「そうか。ちょうどいい。アレは私の創った試作品の出来損ないだった。 このまま消えてくれたほうが良い」 「・・・おい。アイツは人間だったぞ?試作品ってお前・・・まさか・・」 「ああそうだ。私が創った。失った痛みを消し去る為に。 愛する者を取り戻す為に。その過程で生まれた試作品がアレだよ」 「お前・・・・・・カオーラは生き返らない」 「それはお前にはムリだろうが私には可能だ。 私に創り出せないものはない」 デリートは右手を差し出した。 燃焼機関のような機械が埋め込まれた、おぞましい姿をした腕を。 「そして、私に破壊できないものも、ないんだよブラーニン!!!」 眩い光がブラーニンめがけて襲い掛かった。 あまりの速さに、ブラーニンは呪文を唱える事も出来ず、 横っ飛びしてなんとか交わした。 光が当たった地面は、地下深く、底が見えないほどの空洞ができていた。 「相性というものがある。お前風に言えば、火には水。光には闇。 お前にとって私との相性は最悪だ。私にお前のルーンマジックは通用しないのだから」 「・・ルーンが通用しない?へ~初耳だぜデリート」 「試してみろ」 デリートは棒立ちでじっとしている。 「少し・・カチンときた。」 ブラーニンは空中に魔法陣を描き出した。 「汝ルーンの守護者。天の理法を我に示せ。 リューン・ケナズ・ルーン・オジラ。ドラゴンよその血を我に与えよ」 するとブラーニンの身体が赤く発光しはじめた。 「じゃあ、試すぜ?ドラゴニックブレス!!」 ブラーニンが両手を前方に突き出すと、そこにドラゴンの顔が現れた。 そして灼熱の炎を吹き出し、デリートを襲った。 しかし、炎はデリートの目前でピタリと止まり、塵のように巻き上がりながら消えてしまった。 「!?・・これは・・・イサ?」 「そうだ。全てのルーンの活動を『停止』させた。 私にルーンは効かない」 「・・不可能だ。イサは全てを停止させる。お前も含めてな」 「だから言っただろう。私は錬金術師。創り出せないものはない」 そういうとデリートは胸のボタンを外した。 するとルーン文字『イサ』が刻まれた機械が、胸に埋め込まれていた。 「・・・なんだぁ・・そりゃあ・・・」 「説明してもお前には理解できないだろう。さて。 お前との会話もそろそろ終わりにしようか」 「まだだよ」 ブラーニンは腰のナイフを抜き、デリートに切りかかった。 空中を切り裂くような音がした。 しかし、ブラーニンの握っていたナイフは、柄の部分だけを残し、 刃は消えてなくなっていた。 「鉄・・Feの結合エネルギーを停止させる。すると原子レベルでの 物質化ができなくなり、そのように塵になって消えてしまう」 まるで人間とは思えないような速度で、デリートはブラーニンの首を捕まえた。 「ぐっ・・・」 「ブラーニン。お前が私に聞きたい事。教えてやる。さあ、聞け」 「げはっ・・・お・・まえ・・」 「いいのか?ならこちらにも用はない。さらばだブラーニン。 ・・・・・・・・・・地獄で会おう」 「巨人兵アルキズ召還!あ~たん、やっちゃってww」 巨大なゴーレムが無数のコボルトを蹴散らした。 「ほへ・・・・・あ・・・・えっと・・・」 「なぁに~おじさん、まだ何か御用かしらぁ?」 「ヒィ~!!」 ゲスリーは逃げ出した。 エルフ達は全くの無傷だった。 「もう!せっかくのお食事がめちゃくちゃになっちゃった・・(´;ω;`)ブワッ」 「うぅ~どうしよう・・。食材足りないかも・・」 「ねえそれよりさ、ブラーニン様、少し遅くない?」 「ん~・・なにやってるのかなぁ・・・」 「あ!満月だぁ!」 「ワ━☆*:;;;ヾ( ・∀)ノ゙ヾ(・∀・)ノ゙ヾ(∀・ )ノ゙;;;;☆━イ!!」 「あ!クラマさん!?」 「やっぱり、みなさんだったwお久しぶりですw」 エルフたちがクラマの周りにむらがった。そして、 それぞれが同時にしゃべりだした。クラマはアタフタとするしかない。 「―でねー、ブラーニンが帰ってこないんだよぉ~」 「そうですか・・・少し心配ですね・・・」 クラマは散らかった鍋をエルフと一緒に片付け、 残された食材と、自分が持っていたパンで、食事の用意を始めた。 温かいスープと、賑やかなエルフたち。 きっとブラーニンも喜ぶはずだ。 クラマは、そう思っていた。 PR |
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